こんにちは!
A類数学科3年の藁科(わらしな)です。教育実習に行っていたため、久しぶり(2か月ぶり?)の投稿になります。
今回は学習者8名に対し、大学生2名での活動となりました。
数学・英語の問題をやっている子が多かったなという印象です。もう一人の大学生は英語科なので、結果的にはちょうどよかったです。
今日、中学3年生の子が持ってきた数学ワークに、次のような文章題(一部改題)をみつけました。
問題
ある喫茶店では、ホットコーヒーを一杯300円、アイスコーヒーを一杯400円で売っている。店主が調べると、ホットコーヒー・アイスコーヒーの売れ行きは、その日の最高気温に関係していることが分かった。最高気温が1度高くるごとに、ホットの販売数は10杯減り、アイスの販売数は15杯増えるという。最高気温25度のとき、ホットは160杯・アイスは30杯売れる。このとき、ホットとアイスの販売額が等しくなるのは、最高気温が何度のときか。
中学1年生・1次方程式の応用です。コーヒーの売れ行きと最高気温に特別な関係がある・・・面白いけど、本当かな?(笑)
皆さんはわかりましたか?😊
(販売額)=(単価)×(販売杯数)で決まりますが、実際に気温1度ごとに双方の販売額を書きだそうとすると、計算処理が煩雑になります。「方程式を立てたほうがよさそうだ・・・」という動機づけをうまくしている問題といえるのではないでしょうか。(書きだし型の解法としては、価格比がホット:アイス=3:4なので、販売杯数の比がホット:アイス=4:3になるときをしらみつぶしに見つければいい、ということになります。しかしこれだけの理解度があれば、温度変化を未知数tで置いて方程式を構成するのも簡単にできそうですね)
ところで方程式を立てる利点は何でしょうか?
はやく答えが出るから?・・・コンピュータに任せれば人間よりもはるかにはやく答えをはじきだせますね。
問題文を数式で理解できるから?・・・確かに理解の助けにはなりますが、今回でいえば、1度ごとに双方の販売額を書きだすという「しらみつぶし」のやりかたも、問題文を理解し数式を利用した計算処理をともなって解決しようとする営みです。
「方程式を解いて得た値(方程式の解)は、『必要十分である』すなわち『その値は題意を満たし、題意を満たすのはその値に限る』ことが保証される」という点に注目します。今回も、温度変化を変数で置いて1次方程式を解いたとき、得られる解は1つですが、その解は「題意を満たす唯一の解」です。求める値を変数で置いた瞬間、「題意を満たすような、取りうるすべての値を考える」ことになり、「方程式を解く」=「すべてのパタンを考える」というステップを踏んだ結果、解にたどり着いたならば、それ以外にはない、というイメージです。見つけた「正解(らしいもの)」が論理的に間違いなく「正解」であることを方程式が保証してくれます。
しらみつぶしに調べる作戦も数学的に有効である場合が多いですが、「以下○○パタンの場合分けの中に必ず解があるから、あとはしらみつぶしに調べればよい」と必要十分性を意識した思考プロセスが大切になります。このどんどん逃げ道をなくしていくような数学の思考様式に、犯人を追い詰めていくミステリとの類似点を私は感じます。
その中学3年生の子は「文章題は嫌い」と言っていました。どんなところが嫌いなのか尋ねると、「問題文が何を言っているのか理解できない。どう処理して良いかわからない」という答えが返ってきました。算数・数学を学んだ人なら、きっと誰もが一度は経験する心情でしょう。私も中学・高校と難しくなるにつれ、同様の感情をもち、挫折したこともあります。
何を言っているのか理解できない、という発言には「文によって内容が理解できるはず」という気持ちが先行しているのではないでしょうか。
数学は「まず試してみる。代入してみる。線を引いてみる」など、手を動かすことによってじわじわと考えの道筋が見えてきます。
「どうせうまい補助線の引き方があるんでしょ」と斜に構えていると、なかなか良い補助線は見つからないものです。(そういう見方も大切ではあります。)往々にして解法は1つではない場合が多いので、まずは手を動かしてみる、具体例を考えてみる、というのも大事ではないでしょうか。
どう処理して良いのかわからない、という発言には「問題文を数学的処理の土俵にもってくる」ことの困難さであるような気がします。
この、文章と数学をつなぐうえでの困難さ、の解決について、私は自分なりの答えをまだもっていません・・・。数学教育の分野を勉強し、自分で答えを見つけていきたいなと思います。
最後に、活動の人数不足が深刻です💦
大学の夏季休業期間であること、教育実習に3年生が行ってしまうことなど条件が重なってしまい、最近大学生の参加が少ない現状です・・・。さみしい・・・。活動後の反省会では、「その日の活動を終えたときに、手応えや、やりがいを感じられないと、継続して学習支援に足が向かないのではないか」という指摘が挙がりました。「学校でもない・塾でもない」てらこや ならではの子どもたちとのかかわりの楽しさを、下級生に伝えていくのが上級生の責任ですね。とはいえ、3年後期は教採対策ゼミなども始まるので、たくさん来れるかどうか・・・。活動にきて、子どもたちの成長を見守るためにも、「時間を大切に」を信条に計画的実行と迅速な課題解決を心がけねばいけないようです・・・!!
11月2、3、4で開催する小金井祭もお待ちしています!
次回の活動は10月14日です(←10月の月曜日は7の倍数で覚えやすいですね!)
ご参加お待ちしています。
A類数学科3年 藁科慶太朗
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